ソウル・アンダーテイカー 中村江里加

 時に、愚者であることは幸せあるかもしれない。
 自らを愚者と割り切ることが出来たならば。
 「ダブルブリッド」の中村江里加の新作。といっても多分正月に買って少しずつ読んでいたもの。最近、読みが遅い。いや多分疲れているのであろう。
 内容は御馬鹿さんの少女が死神の銃と出会い、迷える死者の魂から生まれる「羊」を月に還す「魂の葬儀屋」(ソウル・アンダーテイカー)になるという物語だが、物語の焦点は、一見、愚鈍としか見えない主人公、江藤比呂緒の純粋で特異、いや、多分、善良な思考である。別な意味で彼女は「天使」である。
 彼女を巡る物語はあまりにも語られないが、それでも彼女は美しい。
 いずれ続編の書かれることを期待する。いや、「ダブルブリッド」の続編もまた楽しみであるので、色々複雑ながらも。これも楽しめました。

ソウル・アンダーテイカー (電撃文庫)

ソウル・アンダーテイカー (電撃文庫)