トルファン 灼熱の大画廊

 100年前、トルファン郊外のベゼクリク千仏洞第15号で発見された誓願図の行方と再現を巡るドキュメンタリー。
 20世紀初頭、ドイツ第二帝国のル・コックによって発見されたこの壁画は、その後、列強の探検隊(ドイツ、ロシア、イギリス。日本の大谷探検隊も含む)によって次々と剥ぎ取られ、故国に持ち帰られてしまう。こういうと、列強の侵略行為に聞こえるが、当時のトルファンはすでに往時のような仏教国ではなく、偶像崇拝を堅く禁じるイスラム国家である。偶像である誓願図は迷信もあって、破壊される運命にあった。ル・コックは芸術保護の使命を感じて、壁画の一部を剥ぎ取り、持ち出した。
 20世紀初頭のアジアを舞台にした一つの物語は、冒険物語の素材として十分である。TRPGのシナリオにしたいねえ。本来ならば、「ブルーローズ」の領域だが、ここはやはり「上海退魔行 〜新撰組異聞〜」で、トルファンから剥ぎ取られた誓願図が上海に運びこまれ…。