いやがらせ増加にみる、潜在的なPTSD

 
 JR西日本の事故以来、同社の車掌や運転手へのいやがらせが70件もあるという。女性運転手の足を蹴って、ホームから落とそうとしたり、車掌を運転席から引き出したり。→ニュース
 
 確かに同社の体制は色々問題がある。
 怒りも分かる。JR西日本の体制への不安も分かる。
 マスコミのニュース報道はただただJR西日本への不安だけをかき立てる。
 
 しかし、生活は変わらない。
 結局、JR西日本に乗って、通勤を強いられる。
 
 たぶん、それはずいぶんストレスの溜まる日常だろう。
 今、通勤地獄にいる人々の多くが、今回のニュース報道で増幅された事故の映像を脳裏に刻み込んだまま、通勤を続けることで、ストレスを溜め込んでいる。
 
 ああ、R300カーブはさぞ怖いだろう。
 
(今や、R300の周辺に建っているビルの住民たちは自分の住居が非常に危険だったことに気づいてしまった)
 
 だが、列車の運行を阻害するほどの嫌がらせをするのは、それこそ筋違いだと思う。どちらかと言えば、悪いのは会社であり、現場への嫌がらせは、事故の可能性を増やしこそすれ、減らすことにはならない。ただ、嫌がらせをした本人が、ただ個人的にすっとしているだけで、周囲を巻き込んでいるのには気づいていないのだ。
 
 社会犯罪に対する制裁、という名目でそういういやがらせに走る人々の存在を知ると、情けないものを感じる。「目立ちたいから、置石をした」という老人や、「死刑になりたいから、幼児を襲った」というダメ人間と変わらないではないか。自分が攻撃している人々と同じレベル、いや、それよりも低い、単細胞生物の刺激に対応する過剰防衛反応のような行動であると、そういう想像力も欠落したような人材をこの日本は生み続けているのか?
 結局、ストレス発散なのだよね。
 そういう形でしか鬱憤を発散できないのか、そういう人々の増加が、社会の崩壊にわずかな弾みをつけていくような気がする。
 
 JR福知山線の事故はひとつのPTSDにも似た病巣を、乗客や被害地域の人以外にも、広げていくのだろう。それが、どこかで不可解な乱れを生み出し、さらにいたましい事件を引き起こさないことを切に願う。