種デスの戦場はトロイ

 このところ、仕事の隙を見て、以前、書いたアトランティス研究書「天からの洪水」をじっくり読んでいます。これは、本格的な地理考古学者が古代ギリシアの風景(文字通り)を再現しながら、プラトンアトランティス伝聞というのは、エジプトから見たトロイ戦争のことであったのだとする本です。非常に知的で、論理にも破綻が無く、文章もうまい。非常に面白い。岩波書店の「プラトン全集」が入手困難な分、原文の引用もあり、アトランティス解読書ではベストの一冊ではないかと思います。
 さて、本書でアトランティスだとされるトロイは、エーゲ海から黒海へと続くダーダネルス海峡を支配することで発展した都市で、後のビザンチン帝国の首都コンスタンチノープル(現イスタンブール)に通じる戦略拠点でした。黒海周辺は非常に豊かな資源に恵まれた地域で、初代ガンダムジオン軍の拠点となったオデッサ黒海の東岸でした。ところが、黒海と外洋をつなぐ通路は非常に流れの速いダーダネルス海峡(とそこに続くマルマラ海)しかなく、エーゲ海から黒海に入ろうとする船舶は必死にならないとこの海峡を抜けられない。トロイはこの狭い海峡を支配することで、経済的な利益を得ていたのです。
 そういう本を読みつつ、先週の「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」を見ておりますと、ZAFTから黒海周辺を奪還するべく、エーゲ海からオーブ艦隊が侵攻してくる訳ですね。
 多分、割といい加減に地形の描写はされていそうな気がしますが、ユウナの発言から見て、映画「トロイ」は見たのかなと。
 エーゲ海はいかに多島海とはいえ、あれほど対岸が近い訳はないので、多分、オーブ艦隊はダーダネルス海峡に突入したのでしょう。うわ、自殺行為ですな。
 タンホイザーが発射されないと思わないのか?
 そんなこんなで、妄想を膨らませていきますと、ミネルヴァ率いるZAFT軍はマルマラ海からダーダネルス海峡に押し出し、エーゲ海に出る前にオーブ艦隊と遭遇、それをトロイの海岸から取材するミリアリアという図式になります。色々、複雑な感慨がありますな。