種デス ダーク・シン覚醒

 えーっと。
 何か上滑りした演出が連続。コメントに困る回です。
 

消費されたヒロイン像

 冒頭のステラの死体を湖に沈めるというシーンは綺麗ですが、感動も何もないのは、いくつもの理由があります。
 

  • 1:ステラとシンの関係に、何の整合性もないため。回想シーンがあの溺れた回のみ。もう1回、再会させないと、二人の関係は明確化されないのでは?
  • 2:妄想が先走った恋愛だけが強調され、その戦場になったベルリン消失の悲哀を一顧だにしないシンが、感情移入の対象になりにくいため。
  • 3:あの湖の出現が唐突で、なぜ、海に沈めるのか、シンの思考回路がトレースされないため。例えば、死体をザフトに渡してはならない、という演出があの場面の前後にあれば、彼が死体を奪っていくのも理解できる。

 なぜ、そこまで上滑りした演出にするのかなあ。キャラクターが多すぎるのが問題なのだろうねえ。このあと3ヶ月で大殺戮大会するのかねえ。もったいないよねえ。
 

ロゴスとの戦いの空しさ

 後半は、デュランダル議長の演説大会です。
 戦争の空しさを語り、死の商人ロゴスの存在を暴露し、ロゴスとの戦いを提言するのですが・・・これまた、空しいですよ。
 ネタとして、軍産共同体というのがあります。それらは単体の企業ではなく、結果的に発生した多数の企業や政治形態まで含めた組織とシステムです。それらが戦争を作るという概念は、まさに概念ですぎません。
 個人を特定することが困難だからです。
 イラク戦争の原因を、英米の軍産共同体に求める人々は多いし、ブッシュ政権の重鎮が経営する関連企業がイラク戦争兵站を丸受けして、ひどいことになっていますが、彼が罰せられる様子はまだありません。
 
 しかたなく、種デスでは、設定として、ロゴスの手先であるファントム・ペインとか作るわけですが、そうした私兵部隊とロゴスが直接関係しているなどと証明できるような粗漏なことをやるようでは会社経営はできません。
 特に、ロード・ジブリールの間抜けさ、ヒステリックさは、そうしたキャラクターに求められるすべての特質を欠いています。こんな奴に世界が滅ぼされかけたかと思うと、悲しくなります。
 ガンダムWに登場した貴族連合も割りと愚か者ですが、かなりの政治権力とそれに見合う最低限の陰謀能力、そして、明確な邪悪さを持っていました。だから、テロに走るヒイロたちの孤独な戦いが正義になったのです。
 悪と言う意味では、アズラエル君程度の能力と威厳がないのがおかしいですね。どちらかといえば、ロード・ジブリールはそれほどの存在ではなく、デュランダル議長が「ナチュラル、コーディネーター融和のための仮想敵」として仕立て上げた存在にも見えます。そのくらいの裏は用意して欲しいのですが、どうも、ダメな予感がします。